🚧 10. SoE規範・基準

10. SoE 規範・基準(System of Engagement)

10.1 SoE の位置づけ(再掲・要点)

SoE とは、利用者(ユーザー・顧客・現場担当者等)との接点を担い、

体験価値・操作性・即応性・変更容易性を重視するシステム類型である。

SoE は以下の特性を持つ。

  • 利用者の行動・フィードバックを起点に改善される
  • 業務ルールの最終的な正は SoR に存在する
  • 変更頻度が高く、要件の確定度は相対的に低い

10.2 SoE 共通規範(Must / Must Not)

10.2.1 基本原則(Must)
  • SoE は 単独で業務の正を決定してはならない
  • 業務上のマスタデータ・確定値は SoR を参照元とすることを原則とする
  • SoE の要件・設計は、ユーザー体験・業務価値を中心に記述すること
  • SoE の要件定義では、画面・操作・遷移・反応を業務要件と同等に扱うこと
10.2.2 禁止事項(Must Not)
  • 業務ルールや計算ロジックを SoE 側に閉じて定義すること
  • SoR との責務分離が不明確なまま設計を進めること
  • UI/UX を「後工程で調整可能」として要件定義から除外すること

10.3 要件定義工程における SoE 規範

10.3.1 要件定義の重点(Must)

要件定義において、以下を 必須の定義対象とする。

  • 利用者ペルソナ/利用シーン
  • 業務フロー上の利用タイミング
  • 主要なユーザー操作(入力・確認・判断・遷移)
  • SoR とのデータ連携責務(参照/更新/通知)
10.3.2 要件の表現方法(Should)
  • 業務要件は ユーザーストーリー形式またはそれに準ずる形で整理する
  • 機能要件は「機能一覧」よりも「利用シナリオ」を中心に記述する
  • 非機能要件は 応答性・同時利用・操作性を優先的に定義する
10.3.3 要件の粒度(May)
  • 変更可能性が高い部分については、確定要件と仮説要件を区別して記載してよい
  • MVP(最小実用範囲)を前提とした段階的要件定義を採用してよい

10.4 基本設計工程における SoE 規範

10.4.1 設計の観点(Must)

基本設計では、以下を必ず明示する。

  • 画面構成・画面遷移の全体像
  • ユーザー操作とシステム応答の関係
  • SoR とのインタフェース責務(API 単位でなく責務単位)
  • 状態管理(一時状態/確定状態の扱い)
10.4.2 設計上の原則(Should)
  • UI/UX 設計は、業務フロー設計と一体で記載する
  • 変更が想定される箇所は、構造的に疎結合となる設計を採用する
  • SoR 変更の影響が SoE に波及しない設計を優先する
10.4.3 設計の簡略化(May)
  • プロトタイプやワイヤーフレームを正式成果物の一部として扱ってよい
  • 軽量な画面仕様記述(図・注釈中心)を許容する

10.5 成果物品質基準(SoE 観点)

10.5.1 要件定義成果物の品質基準(Must)
  • 利用者視点での利用目的が明確であること
  • 操作と業務成果の関係が説明できること
  • SoR との責務分離が明示されていること
10.5.2 基本設計成果物の品質基準(Must)
  • 画面・操作・データの関係が一貫していること
  • 業務ルールが SoR に委ねられていることが確認できること
  • 変更影響範囲を説明できる構造になっていること

10.6 SoR 規範との差分整理(参照)

観点 SoR SoE
重視点 正確性・一貫性 体験・即応性
要件確定度 中〜低
要件表現 業務・ルール中心 利用シナリオ中心
設計重点 データ・整合性 UI・連携・変更容易性

10.7 他章との関係

  • 本章は 第3章 共通規範を前提とする
  • 要件定義・基本設計の一般規範は 第4章・第5章を優先適用する
  • 混在システムの扱いは 第8章(SoR / SoE 混在規則)に従う