用語定義

用語定義

プロジェクト固有の業務用語や略語を明確に定義し、ステークホルダー間の共通理解を確立。要件定義書の読解性向上とコミュニケーションの齟齬を防止します。

🎯 概要


  • 目的: プロジェクト固有の業務用語、略語、システム用語を明確に定義し、ステークホルダー間での共通理解を確立することで、要件定義書や設計書の読解性を向上させ、コミュニケーションの齟齬を防止する
  • スコープ: 業務用語、ステータス・区分値、略語、システム固有用語の定義をカバーする。一般的なIT用語や広く知られた業務用語は対象外
  • 推奨する実施タイミング: 要件定義の初期段階から継続的に実施。ヒアリング時に業務用語を収集し、要件定義書の作成と並行して整備する
  • 関連するステークホルダー: プロジェクトマネージャー、要件定義担当者、業務担当者(顧客)、設計・開発担当者、テスト担当者

📥 重要な前提知識・インプット


  • 前提知識:
    • 対象業務領域の基礎知識
    • 用語集の作成方法
    • ドメインモデリング・概念モデリングの基礎
    • 業界標準用語・規格用語の理解
  • インプット:
    • 業務ヒアリング議事録・インタビュー記録
    • 既存システムのマニュアル・業務手順書
    • 業務フロー図・業務記述書
    • 顧客が使用している社内用語集(既存の場合)
    • 業界標準用語集・規格文書
    • データ項目定義書(既存システムの場合)

📄 成果物の定義


✅ 品質基準・レビュー観点

品質チェックリスト:

チェック項目 チェック内容
網羅性 要件定義書・設計書で使用する業務用語が漏れなく定義されているか
定義の明確性 各用語の定義が具体的で、誤解の余地がないか
一意性 同じ概念に対して複数の用語が使われていないか
曖昧性の排除 文脈によって意味が変わる多義語が適切に定義されているか
分類の適切性 用語が適切に分類されているか(業務用語、ステータス、略語等)
検索性 五十音順またはアルファベット順で整理され、検索しやすいか

👁️‍🗨️ レビュー観点:

  • 業務担当者による確認: 業務用語の定義が業務実態と合致しているか
  • 一貫性: 要件定義書本文と用語定義の整合性が取れているか
  • 可読性: 非専門家(開発者、テスター等)が理解できる平易な定義になっているか
  • 完全性: 略語に対する正式名称、英語表記等の補足情報が適切に記載されているか
🧪成果物のサンプル
# 用語集(Glossary)

## 目的

本書は、[対象業務領域]で使用する業務特有の用語を定義する。

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## 用語一覧

| 用語 | 分類 | 定義 |
|------|------|------|
| [用語1] | 業務用語 | [定義] |
| [用語2] | 業務用語 | [定義] |
| [ステータス1] | ステータス | [説明] |
| [ステータス2] | ステータス | [説明] |

**記述例:**

| 用語 | 分類 | 定義 |
|------|------|------|
| 受注 | 業務用語 | 顧客からの注文を受け付けること |
| 引当 | 業務用語 | 受注に対して在庫を確保すること |
| バックオーダー | 業務用語 | 在庫不足で即出荷できない注文 |
| 出荷締め時刻 | 業務用語 | 当日出荷の受付締切時刻(例:15時) |
| 受注登録 | ステータス | 注文が登録された状態 |
| 引当済 | ステータス | 在庫が確保された状態 |
| 出荷完了 | ステータス | 商品が出荷された状態 |

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## プロジェクト固有の略語

| 略語 | 正式名称 | 説明 |
|------|----------|------|
| [略語1] | [正式名称1] | [説明] |
| [略語2] | [正式名称2] | [説明] |

**記述例:**

| 略語 | 正式名称 | 説明 |
|------|----------|------|
| CRM | Customer Relationship Management | 顧客関係管理システム |
| EDI | Electronic Data Interchange | 電子データ交換 |
| SLA | Service Level Agreement | サービスレベル合意書 |
| RFP | Request For Proposal | 提案依頼書 |

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🔄 進め方・プロセス


📝 プロセス1: ヒアリング・既存資料からの用語収集

作業対象:

業務ヒアリング、既存システムの資料、業務フロー図などから、プロジェクト固有の用語を網羅的に収集する。

具体例:

  • 業務ヒアリングで登場した専門用語・業界用語
  • 既存システムのマニュアル・業務手順書に記載された用語
  • 業務フロー図に記載されたステータス名、区分値
  • 顧客が使用している略語・社内用語
  • データ項目定義書のフィールド名・ドメイン名

作業原則:

  • 継続的な収集: ヒアリングの都度、用語を記録し、継続的に用語集を更新する
  • 曖昧性の早期発見: 同じ用語を異なる意味で使っているケースを早期に発見し、定義を統一する
  • 網羅性の確保: 要件定義書の各セクション(機能要件、非機能要件、業務フロー等)から漏れなく用語を抽出する
  • 優先順位付け: 頻出する用語、誤解しやすい用語を優先的に定義する

文書化の推奨表現:

  • 用語候補リストの作成: 収集した用語を暫定リスト化し、定義が必要な用語を選別する
  • 出典の記録: 各用語がどの資料・ヒアリングで登場したかを記録する
  • 未定義項目のフラグ: 定義が未確定の用語にはフラグを付け、後続プロセスで確認する
📝 プロセス2: 用語の分類と整理

作業対象:

収集した用語を分類し、整理する。

分類の例:

  • 業務用語: 業務特有の概念・行為を表す用語(例:受注、引当、出荷、バックオーダー)
  • ステータス・区分値: データのステータスや分類を表す用語(例:受注登録、引当済、出荷完了、商品区分)
  • 略語: 正式名称の短縮形(例:CMS = Content Management System、EC = Electronic Commerce)
  • システム用語: システム固有の技術用語(例:マスタ同期、バッチジョブ、API Gateway)
  • 組織固有用語: 組織内で独自に使用される用語(例:本部システム、拠点端末、営業所コード)

作業原則:

  • 分類の一貫性: 同じ基準で用語を分類し、分類が曖昧な用語は複数のカテゴリに属することを許容する
  • 重複の排除: 同じ概念を指す複数の用語がある場合、どれを正式用語とするか決定する
  • 類義語の整理: 類似する複数の用語がある場合、使い分けの基準を明確にする

文書化の推奨表現:

  • 分類別用語リスト: 分類ごとに用語を整理したリストを作成する
  • 類義語・関連語の記載: 各用語に関連する類義語や対義語を記載する
📝 プロセス3: 用語の定義作成

作業対象:

各用語に対して、明確で具体的な定義を作成する。

定義作成の原則:

  • 明確性: 定義は簡潔で、誤解の余地がないように記述する
  • 具体性: 抽象的な表現を避け、具体的な説明を含める
  • 独立性: 定義自体が他の未定義用語に依存しないようにする(または依存する用語も定義する)
  • 平易性: 非専門家(開発者、テスター等)が理解できる平易な言葉で記述する
  • 業務実態との整合: 業務担当者に定義内容を確認し、業務実態と合致していることを確認する

具体例:

  • 良い定義: 「引当: 受注に対して在庫を確保すること。引当済の在庫は他の受注に割り当てられない」
  • 悪い定義: 「引当: 在庫を確保する処理」(曖昧で、確保のタイミングや制約が不明確)

文書化の推奨表現:

  • 定義の記述: 用語ごとに「用語」「分類」「定義」を表形式で整理する
  • 補足情報の記載: 必要に応じて、英語表記、略語の正式名称、関連用語、使用例を記載する
  • 図表の活用: 複雑な概念は図表を用いて視覚的に説明する
📝 プロセス4: 業務担当者による確認とレビュー

作業対象:

作成した用語定義を業務担当者(顧客)にレビューしてもらい、業務実態との整合性を確認する。

具体的な進め方:

  1. レビュー資料の準備: 用語一覧表をレビュー用に整理し、業務担当者に配布する
  2. レビュー会の実施: 業務担当者と用語定義をレビューし、誤りや不明確な点を指摘してもらう
  3. 修正・調整: 指摘事項に基づき、定義を修正・調整する
  4. 合意記録: レビュー結果と合意内容を記録する

レビューのポイント:

  • 業務実態との整合性: 定義が業務の実態と合致しているか
  • 定義の明確性: 定義が明確で、誤解の余地がないか
  • 用語の一貫性: 要件定義書本文と用語定義の整合性が取れているか
  • 網羅性: 重要な業務用語が漏れていないか

文書化の推奨表現:

  • レビュー記録: レビュー日、参加者、指摘事項、対応内容を記録する
  • 承認記録: 業務担当者の承認を得た用語定義であることを明記する
📝 プロセス5: 用語集の整備と継続的な更新

作業対象:

用語集を最終的に整備し、要件定義書に組み込むとともに、継続的に更新する仕組みを確立する。

具体的な進め方:

  1. 索引の作成: 五十音順またはアルファベット順の索引を作成し、用語を検索しやすくする
  2. 要件定義書への組み込み: 用語集を要件定義書の一部として組み込む(または別紙として参照可能にする)
  3. 継続的な更新: 要件定義の進行に伴い、新たな用語が登場した場合は用語集を更新する
  4. 変更管理: 用語の定義変更が発生した場合は、変更履歴を記録し、関係者に通知する

文書化の推奨表現:

  • 索引の作成: 五十音順/アルファベット順の索引を作成する
  • 分類別リスト: 分類ごとに用語をグループ化したリストを作成する
  • 変更履歴: 用語の追加・修正・削除の履歴を記録する
  • 参照リンク: 要件定義書本文から用語集への参照リンクを設ける

🚨 よくある失敗と予防策 


🚧 実例収集後、追記予定

📚 参考資料・関連リンク


  • 参考規格・ガイドライン:
    • ISO/IEC/IEEE 29148(システム及びソフトウェア技術−ライフサイクルプロセス−要求工学)
    • IPA 共通フレーム2013『要件定義プロセス』
    • 『ドメイン駆動設計』(ユビキタス言語の考え方)
  • 関連する他のガイド:
  • ツール・テンプレート:
    • 用語集テンプレート
    • 業界標準用語集(該当する場合)


テンプレートサイト: 📄Arrow icon of a page linkテンプレート集