🚧 要件定義のプロセス

Points!

✍️ 要件定義工程は全体として見たとき、要件の合意形成プロセスとみなせる。

✍️ プロセスの実行順序やタイミングは、現場に合わせてアレンジが必要とされる。

このページについて

  • ここでは、要件定義工程に含まれるプロセスの全体像を解説している。
  • 標準の定めるテンプレートを手に入れたい方は、こちら → サンエム上流工程標準

テーラリング(現場に合わせたアレンジ)が必要

標準は、通常守るべき順序や関係性を定義し、テーラリングの基準として働く

顧客や案件、現場によっては、いくつかのプロセスや成果物が追加で必要になったり、あるいは不要になったりすることが想定される。要件定義に臨むPMやエンジニアは、標準で定められた基準を守りつつ、テーラリング(現場に合わせたアレンジ)することが求められる


全体像

要件定義工程は全体として見たとき、要件の合意形成プロセスとみなせる。

flowchart LR
  %% 全体レイアウトを左→右
  subgraph A[入力]
    direction TB
    要望 ~~~ 制約
  end
  
  subgraph B[要件定義]
    direction LR

    %% 業務要件(縦方向のフロー)
    subgraph BA[業務要件]
      direction TB
      AsIs把握 --> 課題定義 --> ToBe定義
    end

    %% システム化要件(縦方向の独立ノード)
    subgraph BB[システム化要件]
      direction TB
      機能要件定義 ~~~ 非機能要件定義 ~~~ 移行計画
    end

    BA --> BB
  end
  
  %% 要件定義工程の入出力
  要望 -->|収集・分析| B
  制約 -->|スコープ調整| B
  B -->|文書化| 要件定義書

  %% 検証
  B -->|妥当性検証| A

これまで見てきた通り、要件定義は要望と制約を入力とし、ステークホルダー(顧客)との正式な合意によって、要件定義書を正式な工程成果物として出力する。

要件定義の主な活動は、以下のようになっている。

  1. 要望を収集し、AsIs の業務を分析して、課題を定義する。
  2. 要望と課題から、ToBeの業務を、業務要件として定義する。
  3. 業務要件を実現するシステム要件を定義する。
  4. 予算やスケジュールなどの制約で要件を優先順位付けし、取捨選択し、スコープ調整する。
  5. 要件が妥当(要望を実現し、制約をクリアする)なものか確認する。
  6. 決定した要件を合意・承認して、正式な成果物として確定する。

個別のプロセス・成果物の定義

サンエム標準では、1つのプロセスは、1つの成果物を出力する。
要件定義工程では、すべての成果物は、最終的に要件定義書に統合される。

ここに示されるプロセスの実行タイミングは、あくまで標準である。
現場の状況にあわせて、適切にアレンジされることを想定している。

要件定義書の定義 → 個別の成果物の定義 → 個別プロセスの定義 → 個別プロセスガイド

全体ガイド → 個別プロセスガイド → 個別成果物

分類 プロセス 概要 実践ガイド
入力 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found 業務やシステムを設計・運用する上で守らなければならない制約を一覧として整理する 🚧Arrow icon of a page link制約条件整理
入力 要望分析
その他 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found 業務・システム関連の用語を定義し、ステークホルダー間で解釈を統一する 📄Arrow icon of a page link用語定義
業務要件 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found 現状(AsIs)の業務を分析し、フロー図として可視化し、課題と改善ポイントを明確にする。 🚧Arrow icon of a page linkAsIs業務フロー作成
業務要件 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found システムに関連する業務を洗い出し、一覧にして、システム化対象か対象外か明記する。 🚧Arrow icon of a page linkシステム化対象業務定義
業務要件 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found 現行業務(As-Is)で明らかになった課題や制約、ビジネス目標を踏まえ、「どのような業務の姿を目指すか」 を設計し、関係者間で合意を形成する 🚧Arrow icon of a page linkToBe業務フロー作成
業務要件 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found ToBe業務フローで定義した手順・役割を具体的に運用可能にするために、「どのような条件・基準・判断ルールで業務が実行されるか」を明確化する。 🚧Arrow icon of a page link業務ルール定義
業務要件 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found 業務で扱う情報(データ)を統一的に整理し、属性・型・意味・利用ルールを定義する 🚧Arrow icon of a page link業務データ定義
システム要件 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found 業務要件を実現するために、システムが提供すべき機能を明確化し、業務とシステムの責任分界を定義する。「何をシステムで行うのか」「どのように業務を支援するのか」を明確にする。 🚧Arrow icon of a page link機能要件定義
システム要件 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found システムが備えるべき性能・信頼性・可用性・セキュリティなど、機能以外の品質要求を明確化する 🚧Arrow icon of a page link非機能要件定義
システム要件 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found システムやサービスの構成要素(アクター、サーバ、アプリケーション、DB、ネットワーク、外部サービスなど)を視覚的に表現する 🚧Arrow icon of a page linkサービス構成図作成
その他 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found 定義された要件が、要望や制約、業務要件と整合しているか確認する。
要件仕様書が“正確に作られているか”(正当性)ではなく、“正しいものを作るための要件になっているか”(妥当性)を確認する。
🚧Arrow icon of a page link要件の妥当性検証

制約条件整理

プロセス名 制約条件整理
成果物名 制約条件一覧
成果物テンプレート 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found
プロセス概要 業務やシステムを設計・運用する上で守らなければならない制約を一覧として整理する
目的(成果物の役割) 設計・改善の判断基準を明確化し、実現可能なTo-Be業務設計・システム設計を支える
実行タイミング 要件定義開始前に一度整理し、要件定義中に随時更新する。
特に、ToBe業務フローや業務ルール定義の前提として整理しておくことが望ましい
主な活動 • 納期・予算・法令・規程・社内規則・契約・リソース制約・システム制約などを収集する
• 収集した制約を業務別・システム別・リスク影響別などで分類し一覧化する
• 関係部門のレビューで、内容に間違いがないことを確認する。
文書の構造・形式 通常、表として一覧化。
実践ガイド 🚧Arrow icon of a page link制約条件整理

用語定義

プロセス名 用語定義
成果物名 用語集
成果物テンプレート 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found
プロセス概要 業務・システム関連の用語を定義し、ステークホルダー間で解釈を統一する
目的(成果物の役割) ・ステークホルダー間で共通言語を確立し、誤解・認識差を防止
・ドキュメント間で一貫した用語使用を担保
・要件定義・設計レビュー・テストでの議論を効率化
実行タイミング 要件定義工程の初期段階で開始し、工程全体で継続更新する。
できるだけ早期に整備することが望ましい。
主な活動 • ドキュメント(業務フロー、要件一覧、データ定義書など)や会話から主要用語を抽出
• 各用語の意味、用途、関連語、区別点を明確に定義する
文書の構造・形式 通常、表として一覧化。
実践ガイド 📄Arrow icon of a page link用語定義

システム化対象業務定義

プロセス名 システム化対象業務定義
成果物名 業務一覧
成果物テンプレート 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found
プロセス概要 システムに関連する業務を洗い出し、一覧にして、システム化対象か対象外か明記する。
目的(成果物の役割) •ステークホルダー間で「業務」に対する認識齟齬を防ぎ、合意形成を支援する
• システム化対象業務と対象外業務を識別し、スコープを明確にする
• トレーサビリティ(業務 → 機能 → 非機能要件、さらにはテスト仕様等)の出発点となる
実行タイミング 要件定義の初期段階、業務分析フェーズの冒頭で行うべき
主な活動 • 関連業務の洗い出し
• 識別のための業務名称と、その範囲の明文化
•システム化対象内/対象外の識別と合意
文書の構造・形式 通常は表形式で表現される
実践ガイド 🚧Arrow icon of a page linkシステム化対象業務定義

AsIs業務フロー作成

プロセス名 AsIs業務フロー作成
成果物名 AsIs業務フロー
成果物テンプレート 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found
プロセス概要 現状(AsIs)の業務を分析し、フロー図として可視化し、課題と改善ポイントを明確にする。
目的(成果物の役割) • 現行業務の流れ、関係者、情報の流れ、課題を可視化し、共通認識を形成する。
• 後のToBe業務フローとの差分が、要件定義の根幹となる。
実行タイミング 要件定義の初期段階、業務分析フェーズ。業務一覧の作成と並行して行うべき
主な活動 • 現行業務のヒアリング・ドキュメント収集・現場観察などで情報収集
• 実際の業務手順、入力・出力、担当者、システムを整理してフロー図作成
• フロー中のボトルネック、属人化、重複業務などの原因事象を洗い出し、課題定義する
文書の構造・形式 通常、業務ごとに1つのフロー図+注釈。必要なら表として一覧化。
実践ガイド 🚧Arrow icon of a page linkAsIs業務フロー作成

ToBe業務フロー作成

プロセス名 ToBe業務フロー作成
成果物名 ToBe業務フロー
成果物テンプレート 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found
プロセス概要 現行業務(As-Is)で明らかになった課題や制約、ビジネス目標を踏まえ、「どのような業務の姿を目指すか」 を設計し、関係者間で合意を形成する。
目的(成果物の役割) ・業務の新しい流れ・責任分担・情報のやり取りを定義
・業務改善施策やシステム化範囲の根拠資料となる
・業務要件・システム要件の基礎を作る
・将来の業務イメージをステークホルダー間で一致させ、運用テスト仕様の入力となる
実行タイミング 要件定義工程の業務要件を定義するとき
主な活動 • AsIs分析結果から、課題・制約・非効率箇所を抽出し、改善すべきテーマを特定する
• 新しい業務手順、役割分担、システム活用方法を設計し、ToBeフローとして可視化する
• 関係部門との妥当性レビューや合意形成、実現性評価を行う
文書の構造・形式 通常、業務ごとに1つのフロー図+注釈。必要なら表として一覧化。
実践ガイド 🚧Arrow icon of a page linkToBe業務フロー作成

業務ルール定義

プロセス名 業務ルール定義
成果物名 業務ルール一覧
成果物テンプレート 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found
プロセス概要 ToBe業務フローで定義した手順・役割を具体的に運用可能にするために、「どのような条件・基準・判断ルールで業務が実行されるか」を明確化する。
目的(成果物の役割) フロー図では表現しきれない業務ルールを明文化する。
・ToBe業務を一貫性・再現性をもって運用できるようにする
・システム要件(機能・制約・業務ロジック)の根拠となる
実行タイミング ToBe業務フロー確定後、システム要件定義の前。
特に「判断」「条件分岐」「例外処理」「入力ルール」「承認ルート」などを整理する段階
主な活動 • フロー図では表現しきれない業務の判断・条件分岐・例外対応などを洗い出す
• 各ルールを「条件」「処理内容」「責任者」「根拠」「例外対応」などとして定義
• 関係部門との妥当性レビューや合意形成、実現性評価を行う
文書の構造・形式 通常、表として一覧化する。
実践ガイド 🚧Arrow icon of a page link業務ルール定義

業務データ定義

プロセス名 業務データ定義
成果物名 データ定義書
成果物テンプレート 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found
プロセス概要 業務で扱う情報(データ)を統一的に整理し、属性・型・意味・利用ルールを定義する
目的(成果物の役割) ・業務で使用するデータ項目の意味や構造の共通認識を形成する
・システム設計やデータベース設計の基礎資料を作成する
実行タイミング ToBe業務フローと業務ルールが確定した後
システム要件定義の前。
通常、業務ルールで必要なデータ項目が洗い出されている状態で開始
主な活動 • ToBe の業務から、システムで扱うべきデータを洗い出す
• データ名、型、桁数、単位、必須/任意、制約、参照関係などを整理し、定義する
• 関係部門とレビューし、業務・システム双方で使用可能な正式な定義として確定する
文書の構造・形式 通常は、表およびドメインモデル図として表現する。
実践ガイド 🚧Arrow icon of a page link業務データ定義

機能要件定義

プロセス名 機能要件定義
成果物名 機能要件一覧
成果物テンプレート 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found
プロセス概要 業務要件を実現するために、システムが提供すべき機能を明確化し、業務とシステムの責任分界を定義する。「何をシステムで行うのか」「どのように業務を支援するのか」を明確にする。
目的(成果物の役割) ・業務要件を実現するために必要なシステム機能を明示する。
・ステークホルダー(顧客側・開発側)の間で、機能の範囲・粒度・優先度の共通認識を形成する。
・基本設計および見積りのインプットとする。
実行タイミング ToBe業務フローおよび業務ルール定義が完了し、業務要件の整理が終わった段階
主な活動 • 業務要件と業務ルールの分析
• 業務プロセスとの機能対応付け
• 機能一覧の作成
• 機能階層構造(ツリー)および概要定義
• 非機能要件との整合確認
文書の構造・形式 通常、表として一覧化。機能ごとの定義を詳細にする場合は、別途機能ごとの仕様書を作成する。
実践ガイド 🚧Arrow icon of a page link機能要件定義

非機能要件定義

プロセス名 非機能要件定義
成果物名 非機能要件一覧
成果物テンプレート 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found
プロセス概要 システムが備えるべき性能・信頼性・可用性・セキュリティなど、機能以外の品質要求を明確化する
目的(成果物の役割) ・システム全体の品質水準を定義する
・機能要件と組み合わせて、実現可能な設計の指針を示す
・テスト基準や受入条件の根拠を提供する
・システム性能や運用リスクに関するステークホルダー合意を得る
実行タイミング 機能要件定義と並行または後に実施
主な活動 • 非機能要件項目の洗い出し関連する
• 制約条件・業務条件との整合確認
• 測定可能な基準値の設定(例:レスポンスタイム、可用性率)
• 優先度や重要度の整理
• レビューと承認による合意形成
文書の構造・形式 通常、表として一覧化。要件が少なければ、箇条書きでも十分。
実践ガイド 🚧Arrow icon of a page link非機能要件定義

サービス構成図作成

プロセス名 サービス構成図作成
成果物名 サービス構成図
成果物テンプレート 🚫 Arrow icon of a page linkPost not found
プロセス概要 システムやサービスの構成要素(アクター、サーバ、アプリケーション、DB、ネットワーク、外部サービスなど)を視覚的に表現する
目的(成果物の役割) ・システム/サービス全体の構成を俯瞰できる
・関連システムや外部サービスとの接続関係を明示
・設計・運用・保守の指針資料として利用
・ステークホルダー間の共通認識と合意形成
実行タイミング 要件定義の後期~基本設計前。
機能要件、非機能要件、外部インタフェースが概ね固まった段階
主な活動 ・サービス/システム構成要素の洗い出し
・接続・依存関係の整理図面化(視覚化)
文書の構造・形式 ネットワーク図や、システム構成図などの図として表現
実践ガイド 🚧Arrow icon of a page linkサービス構成図作成

要件の妥当性検証

プロセス名 要件の妥当性検証
成果物名 妥当性検証記録
成果物テンプレート
プロセス概要 定義された要件が、要望や制約、業務要件と整合しているか確認する。
要件仕様書が“正確に作られているか”(正当性)ではなく、“正しいものを作るための要件になっているか”(妥当性)を確認する。
目的(成果物の役割) ・要件定義書の承認のベースライン、前提となる
・定義された要件が実際の業務目的・ニーズに適合していることを保証する
実行タイミング 業務要件からシステム要件に落とし込んだ直後。
および、要件定義の最終段階。ある程度、並行してもよい。
主な活動 ・レビュー等で妥当性をステークホルダー間で確認する
・承認者による署名や電子承認で正式な記録として確定する
文書の構造・形式 電子署名などで承認履歴を明確化できる文書
実践ガイド 🚧Arrow icon of a page link要件の妥当性検証


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